2017/02/07

第5作目『かさね ~雨の日~』のご紹介

こんにちは、ネモン℃の芳松です。
先月にブログで告知していた新作が、ようやくできあがりましたので、ご報告させてください。

表紙


……というわけで、ちょうど1年ぶりになりますでしょうか。
かさねが、2回目の登場となりました。
タイトルは『たまゆらの宿 かさね ~雨の日~』です。

今回はいつもの宿ではなく、近場の山小屋が舞台となっております。
作品内では特に触れておりませんが、こちらに掲載している短編小説でも何度か登場しております、キノコが取れたり周囲が一望できる山にある……という設定だったりします。
ご存じの方は、その辺りを想像しつつ、クスリとしていただければと。

声は、もちろん前回と同じく橘まおさん。
イラストも引き続き吉宗さんに担当していただきました。

今作での特筆すべき点は、強い睡眠導入効果……でしょうか。
個人的な話ではございますが、耳かきトラックの編集中になんと3度も寝落ちをしてしまい、その日の作業を諦めざるを得ない状況になりました。
ただでさえ優しげに語りかけてくるかさねの声に、耳かきの音と雨の環境音が非常にマッチしております。
今回、試しに耳かきや梵天の音量を少々上げてみたのですが、それもまたリラックスできる一因になっているのやもしれません。
ぜひ、体験版や製品で確かめてみてください。

また、前作のふうりと同様、今作も96khz/24bitのハイレゾ音源を同梱いたしました。
基本的に、編集についてはハイレゾの環境で行っておりますので、もしも私が寝落ちしていたのと同じ状況を作り出したいのであれば、そちらのデータでお聴きくださいませ(笑

そして昨晩、ツイッターでは先にYoutubeに上げた試聴版を告知いたしましたが……改めまして。
こちらになります。



ちなみに、無事に審査も完了しておりますので、恐らく本日(2月7日)のお昼前くらいからDLsite様およびDMM様で頒布開始されるだろうと思います。

それでは、また頒布が開始された際にはご報告いたしますね。
もうしばらくお待ちくださいませ。

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※02/07追記
頒布開始されました。
DLsiteさんの頒布ページはこちら
DMMさんの頒布ページはこちら
となっております。
よろしければ、チェックしてみてくださいませ。
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2017/01/23

新年のご挨拶&近況

今更ながら、あけましておめでとうございます。ネモン℃の芳松です。

現在は、次回作の編集作業を進めております。
実は先月の内に吉宗さんからイラストは頂いているため、あとはもう編集するだけという状況だったのですが、私事で遅れておりました……なるべく早く終わらせ、皆様の元にお届けしようと思います。
早ければ来週の土日くらい、遅くてもその次の週には終わらせるつもりですので、頒布開始はそこから2~3日後となる予定です。
あの子が再びお目見えいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちくださいませ。

その次についてですが、実はまだなにも決まっておりません。
ただ、新しいシリーズか、単発で何か作ってみようかなぁ……などと考えております。
世界観的に、たまゆらの宿ではどうしても現代的な音を使えないため、その辺りを気兼ねなくやれるようなものなんかどうだろう、と思いまして。
まぁ、まずは次作を作り終えてから諸々進めていこうと思います。
あ、もちろんたまゆらの宿シリーズは今後も続けていきますので、そこはご安心ください。
まだ、企画当初から考えていた全員が出そろってませんので。

昨年末、途中で止まってしまったお話も、編集が終わり次第完結させます……もう少々お待ちくださいませ。
と言うわけで、今年もネモン℃をよろしくお願いいたします。
2016/12/17

秋の味覚、大しゅーかく(みつな編) 弐

「ふん、ふんふんふ~~ん♪」

楽しげに鼻歌を口ずさみながら、次々とカゴへキノコを投げ込んでいくみつな。
やはり、かさねやとうかとは年季が違うのか、まったく迷うことなく食べられるキノコを選定していく。
まるで、ソレ専用に作られた機械のようだ。

「ふんふふ―――」
「…………っ……」
「…………あら?」

風に煽られた木々のざわめきの中、かすかに声らしき何かが耳に届く。

「動物……?」

この山に、大型の獣がいるなどとは聞いたことがない。
狼もこの辺りには生息していないため、可能性としては野良猫、あるいはウサギが良い所だろう。

「猪……だったら、猪鍋もいいわね」

みつなの中の、何かの血が騒いでいるのだろうか。
普段は誰も目にすることの無い、ワクワクした様子で静かにカゴを置く。

「っ…………っ、っ……」
「あっちね」

そして、脇差しよりもずっと小さいシャベルを握り直し、足音に気を遣いながら声のする方へ近づいていく。
一歩、二歩、三歩……五歩、十歩、二十歩。
まるで忍者のような足取りで、獣との距離を詰めると。

「んにゃ…………ん、にゃぁ~……」
「…………猫?」

そこに来て、ようやく気付く。
声の主は、聞いている方が寂しくなるような、とてもとてもか細い声で鳴いているようだ。

「怪我でもしたのかしら……」

仲間同士でケンカでもしたのかもしれない。
そうして、動けなくなった猫が周囲に助けを呼んでいるのでは……?
みつなの頭の中では、一瞬にしてそんな推測が組み立てられていた。

「にゃあぁ~~……」
「どうしましょう……」

それが自然の摂理とはいえ、もし手負いの猫なのであれば、助けてあげたい。
しかし、ソレがおいそれと出来ないことも、みつなは理解していた。
家猫であれば問題ないだろうが、野良の場合、自分を確認したら逃げだそうとするかもしれない。
動かずに鳴いていることを考えると、恐らく手足の怪我だ。
その状態で強い警戒心を与えてしまうと、ムリにでも走るだろう。
もしそれで、怪我を悪化させてしまったら。
もし、取り返しの付かない状態にしてしまったら。
……そう考えると、すぐ助けに行くのも気が引けてしまっていた。

「んにゃぁ……にゃああぁ~~……」
「う、ううぅ……」

しかしそのか細い鳴き声は、こうしている間にも、消え入りそうなほどに弱々しくなっている。
決断をするのであれば、早く決めなくてはいけない。
この鳴き声が途絶えてしまったら、それは恐らく命の炎も消えてしまったことになるだろう。
そんな最悪の事態を避けるためにも、みつなは猫の元へ行くか、いっそ聞かなかったことにでもするか、いずれにしろ次の行動を決める必要があるのだ。

「わ……わたくし、どうすれば……!」

いくらみつなでも、自然の動物を相手にして、これ以上間合いを詰めてしまったら存在を気取られてしまう。
そのせいで、姿を確認して怪我の度合いを確認することはできない。
そんな事実が、更にみつなの頭を悩ませていた。

「うううぅ……!!」
「んん………………ん、にゃ…………ぁ……」

鳴き疲れてしまったか、体力が尽きたか。
とうとう、声が消えそうになる。
もうこれ以上、悩むことはできない。
そう思った瞬間―――

「っ!!」

考えるよりも先に、みつなは声のする方へと走り出していた。
仮に人なつっこかったとしても、それが警戒心を与えてしまう行動だとわかっているのに。
そして、声の主の元へ勢いよく駆けつけたみつなが、焦った様子で声を掛ける。

「どうしたのっ!? どこが―――」

しかし、その様子を確認したみつなは。

「…………へ?」

実に素っ頓狂な声を、口から漏らしてしまうのだった。