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2016/02/17

幸せの青い紙・かさね篇

「かさねちゃん、かさねちゃんっ」

パタパタ、と言う廊下を小走りする音と共に、みつながかさねの部屋を訪れる。

「んあー? どないしたん、みつねぇ」
「あら、とかちゃん? かさねちゃんはどうしたの?」
「トイレやで。今頃、昨日の晩ご飯を相手にがんばってるんやないかなぁ?」
「けど、かさねちゃんってお通じ良さそうに見えるから、案外スルッて出すんじゃないかしら」
「あー、ありそうやねー」
「ありませんっ! と言うか、なんの話をしているんですか2人ともっ!!」

他人の下品な話に花を咲かせる2人の会話に、部屋の主が割って入る。

「おー、かさちー。手ー洗ってきたかー?」
「なんとか菌がなんとかだから、ちゃんと清潔にしないとダメよ?」
「なんとかが多すぎて、意味が分かりません! と言うかそもそも、してきたのはおしっこですっ!!」
「……やって? みつねぇ」
「あらあら」
「………………あれ?」

チク、タク、チク、タク、とたっぷり5秒は経過しただろうか。
かさねは、自分が言ったことを思い返したのか、みるみるうちに頬を赤く染めて―――

「んみゃあああぁぁぁっっっ!!?」
「おぉ、かさちーが壊れてもーた」
「まぁまぁ、熟れたりんごみたい」
「ち、ちが、ちがぁっ! 今のは、その、おしっ……じゃないですちがいますそーじゃありませぇんっ!」
「別にえーやんか、おしっこしてきたーってゆーくらい。なぁみつねぇ?」
「ふふっ、良いのよ。こうやって恥ずかしがっちゃうのが、かさねちゃんの魅力なんだから」
「うええぇぇ、やだあぁ~~っ!」
「あっ、かさちー?」

いたたまれなくなったのか、踵を返してどこかへと行ってしまう。

「あらまぁ、ふふっ。ほんと可愛いわねぇ、かさねちゃんは」
「まーなぁ。うちもたまらんと思うわ」
「だからこそ、出番が回ってきたのかもしれないわねぇ」
「出番……って、え? かさちーが? もしかして、みつねぇがここに来はったんは……」
「えぇ、そうよ。それを教えようと思ってね。ほら」

みつなの手にあるのは、呼び出しの青い紙。
そこには、彼女達“紡ぎ手”の力が花開く、大切な機会が書かれている。

「おー。ついにかぁ……なんや、先越されてもーたなぁ」
「こう言うのは出会いだから。とかちゃんが急ぐ必要は無いわよ」
「あはは……」

優しい微笑みを向けるみつなに、とうかは苦笑いを浮かべる。

「ま、でもそーゆーことなら、祝ってやらなアカンなっ」
「あらあら、お祝いは終わってからよ?」
「あれ、せやったっけ?」
「ふふっ、そーよ。ほら、だからまずは、一緒にかさねちゃんを探しましょ?」
「かさちー、こう言う時は変な隙間に隠れよるからなぁ……見つけてもすぐ逃げてまうし。捕まえんの、しんどそうやで」
「ん~……じゃあ、一応のために川釣りで使う網を用意しましょうか?」
「おぉ。おもろそうやな、それっ」
「よーし。そうと決まったら、まずはお庭の物置ねっ」

そして30分後。
みつなととうかの悪ノリで捕獲されたかさねは、大きな網の中で、活きの悪い川魚のように、ただ大人しく身を横たえるのだった。
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